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日刊木材新聞 1月11日号 ■

古典から古代人の「木への思い」探る。

 木材が急に関心を集めている。その用途が住宅であったり、家具であったり、さらには食器インテリア用品であったりする。こうした木への思いは飛鳥、平安といった時代に生きた人々も同じようで多くの書物につづられている。“雅(みや)びの木”は「そうした古典の記述を引用しながら、その木の特徴と合わせて、古代人の木への関わり方を記したもの」(同書まえがきより)だ。
 木材利用については、日本書記の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の説話として「日本は島国だから、舟がなければ困るだろうといわれて、ひげや胸の毛を抜いてまき散らしたところ、ヒノキとスギとクスノキとマキが生えた。そこで尊はそれぞれの用途を示して、ヒノキは宮殿に、スギとクスノキは舟に、マキは棺の材に使え」(“法隆寺を支えた木”より)とあるが、同書はさらに魏志倭人伝をはじめ万葉集、徒然草など多くの古典を引用しながら、当時の人々の木への思いや生活ぶりを説明。
 「伝説の木・祈りの木」「不思議の木」「都を飾る花の木」など全九章から構成されている。
 著者は、財団法人・日本木材総合情報センター大阪木のなんでも相談室長の佐道健(たけし)氏。
 佐道氏は、同書を書くきっかけとなったことについて「古代に槻(つき)と呼ばれていた木がいつ頃ケヤキと呼ばれるようになったのか調べ始めたことから」と話している。
 同書で取り上げている木は畿内が中心となっているが、さらに幅を広げることを期待したい。
 古典文を引用しているため若干たいくつするところもあるが、木を扱う者にとっては、古代の人がどのような思いで木をみつめていたのか伝わってくるところもある。

詳しくは 雅びの木のページへ